不同視弱視(ふどうしじゃくし)

不同視弱視とは

近視や遠視、乱視など屈折異常と呼ばれるものにはいろいろありますが、右目と左目で近視とか遠視とかの度数が全然違ってしまっていると、悪い方の目の視力が発達していないことがあります。これを不同視弱視といいます。例えば、右目は裸眼で1.2とかあって近視も遠視もあまりないのに、左目は強い遠視とか乱視があると、裸眼で0.5、さらにどんなメガネで矯正しても0.6以上は見えないことになっちゃってることがあります。裸眼で0.5はまだいいとしても、メガネかけて0.6っていうのはおかしいです。弱視です。視力はもっと悪い例もあります。

ちょっと専門的なことを言うと、近視や遠視や乱視というのは視力とは別に「度数」といって、-1.0Dとか+2.0Dとか表現します。細かいことはともかく、近視でも乱視でもこの数字が大きいと「悪い」です。そして右眼と左眼でこの「度数」の差が2以上あると「不同視(ふどうし)」といい、弱視になる危険がでてきます。ほんとに弱視になっちゃったら「不同視弱視」ということになります。

原因

左右の差が大きい=不同視が原因です。近視の人が左右差があっても不同視弱視になりづらいですが、遠視や乱視の左右差が大きいと弱視になりやすいです。遠視の不同視弱視は、弱視になっている目の度数が2D以上いい方の眼よりも強いです。近視で左右差があっても遠くをみるときは近視があまりない方の眼の方を使い、近くを見る時は近視の強い方の眼の方を使うことになり、弱視になりにくいです。

症状

不同視弱視は片目が見づらいだけでいい方の眼はよく見えているので、本人が「見えない」と言わないので、発見が遅れ、3歳児健診や就学時健診でみつかるケースが多いです。

診断

視力検査では片眼の視力が悪く、屈折検査では両眼に屈折異常(片眼に強い屈折異常)があります。小児では調節麻痺薬を点眼してどちらの眼にどのくらいの屈折異常があるのか検査します。このほかの眼科一般検査では異常はありません。

治療

放っておくと視力があがる期間(9歳くらいまで)が終わってしまって、生涯、弱視になってしまいます。なので眼鏡をかけて視力アップをはかることが非常に大切です。眼科で処方されたメガネをかけること自体が治療ですが、矯正視力がアップしてこないなら、 アイパッチ(健眼遮閉)をやります。アイパッチを子供が嫌がってできないならアトロピンという目薬をいい方の眼に点眼してアイパッチ代わりにする治療もあります。弱視が治ればアイパッチとか点眼は終了です。

最近、外来をやっていて特に多くなっていることがあります。不同視弱視や屈折異常弱視で他の眼科の先生に「メガネをかけなければだめ!」と言われ、眼鏡の処方箋をもらったけど、親御様が「あまり説明もなく、こんな早いうちからメガネかけろだなんて・・・」と軽い不信感からメガネを作らず、そのまま放置してしまうことがたびたびあります。

これだと、せっかくの弱視が治る期間をみすみす逃し、生涯弱視になってしまいかねません。必ず指示通り、メガネを作って眼科通院を継続してください。もし、眼鏡をかけることにどうしても疑問を感じるなら、小児眼科を受け入れてくれる眼科を探して、セカンドオピニオンということで、別の眼科の先生の意見を聞けば、きっと親御様も納得がいくのではないかと思います。