動眼神経麻痺(どうがんしんけいまひ)

動眼神経麻痺とは

神経は脳から直接でる脳神経(のうしんけい)と、背骨のあたりの脊髄というところからでる脊髄神経(せきずいしんけい)があります。動眼神経(どうがんしんけい)は、脳から直接でる脳神経のほうです。動眼神経は読んで字のごとく、眼球を動かす4つの筋肉(上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋)に「動け!」という命令を伝えています。その他にも、まぶたを開閉する上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)、瞳孔を縮める瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)などにも「動け!」という命令を伝える神経です。中脳(ちゅうのう)というところにある神経核(しんけいかいく)や核から出た神経がこれらの筋肉に向かうどこかに障害が起こると、これらの筋肉が動かなくなり、特徴的な症状がみられ ます。

原因
急に発症した動眼神経麻痺は、内頸動脈・後交通動脈という頭の血管の分枝したところの動脈瘤が原因のことが多く、生死に直結する場合があって 注意が必要です。瞳孔に異常のない場合には、糖尿病や高血圧による虚血(血が通わなくなってしまった状態)が原因として多いといわれています。そのほか脳梗塞、脱髄疾患という種類の病気、脳腫瘍、海綿静脈洞という部位の炎症などが原因となります。

症状
後天性の動眼麻痺は複視(ものがダブってみえる)が症状で、眼球を内、上、外側の下側に動かせなくなり、まぶたが開きづらくなる、瞳孔が開きっぱなしになるなど、動眼神経のどの部分がやられたかによって違った症状がでてきます。動脈瘤が原因だと、頭痛と一緒に左右どっちか片方だけの全動眼神経麻痺が急速に発症します。

診断
ものがダブって見える、眼が動かない、まぶたが開かない、瞳孔が開きっぱなしなど動眼神経っぽいな症状が出た場合には、麻痺の原因を早急に調べなくてはなりません。脳動脈瘤が疑われる場合には、緊急で CT、MRI、脳血管撮影を行う必要があります。瞳孔に異常がなく、もののダブりやまぶたの開き具合が一日のうちに良くなったり悪くなったりする場合は、重症筋無力症という病気と区別する必要があります。

治療
動眼神経麻痺を引き起こした原因となった病気の治療を行うことが第一となります。動眼神経麻痺になってから6か月たっても麻痺によるもののダブりが続いている場合は、とりあえずまっすぐ見ているときだけでもダブりがなくなるように斜視の手術を考えますが、あまりうまくいきません。