斜視弱視(しゃしじゃくし)

斜視弱視とは

弱 視(じゃくし)の1つです。斜視とは「眼の位置ずれ」です。もっと簡単にいうと両目が同じ方向を向いていない状態です。わかりやすくするために乱暴な言い かたをすると、片方の目はまっすぐ向いていますが、片方はあさっての方を向いています。「斜視弱視(じゃしじゃくし)とは、あさってのほうを向いた眼が、 裸眼ももちろん悪いですが、メガネをかけても満足に見えない状態のこと(弱視)をいいます。いっぽう普段まっすぐ向いている方の眼の視力は良好です。

原因

斜視が原因です。生まれたときの赤ちゃんの視力は,眼の前で動くものがかすかにわかるくらいです。物を見ることによって、この視力はだんだん上がってきます。3か月になると ママの顔がわかるようになり、オモチャに反応します。1歳になると脳波で1.0くらいの視力があるようです。でも斜視によってあさっての方を向いた眼は物がしっかり見えず、そのせいで視力がうまく発達しません。その結果、裸眼でも、どんなメガネやコンタクトレンズでも見えない状態=弱視となってしまいます。

もう少し専門的な話をすると、斜視によってあさってのほうを向いた眼は眼底(網膜)の正しい位置(中心窩)で物を見ることができない(固視することができない)ため、斜視眼の視力が発達せず弱視になります。

症状

斜視でない方の目はしっかり見えていることが多いので、あまり自覚症状がないことが多いです。

診断

視力を測ると片目が裸眼も悪いですが、どんなメガネをかけても見えません。そして片眼に斜視があります。固視検査(眼球の中の一番奥にある網膜の中心窩というと ころでちゃんと物を見ているかどうかの検査)で、固視異常がみられま す。弱視の原因として多い、「隠れた遠視」などがないか確かめるため、こともでは特殊な目薬を使って検査します。眼科検査ではこのほかには異常はありませ ん。

治療

固視に異常があれば、固視を矯正するために良い方の目を一日に何時間か隠す治療(健眼遮閉)を行います。固視が正常になったら、視力を上げるためにさらに健眼遮閉、薬剤(アトロピン)の点眼や斜視に対して手術を行うこともあります。