眼性斜頸(がんせいしゃけい)~目が原因で頭が傾く

斜頸(しゃけい)とは、頭を片方に傾けることです。傾けるのには眼性斜頸(がんせいしゃけい)と筋性斜頸(きんせいしゃけい)の2つがあります。

眼性斜頸は、目が原因で起きる頭の傾きです。実は眼球にはいくつかの筋肉がつながっています。それらの筋肉がうまく動くことで眼も左右・上下に動くわけです。でも、それらの筋肉のいずれかが、きちんと動いてくれないと両目が常に同じ方向を見なくなるので、斜視になります。斜視がおきると物がダブって見えます。

眼球を「上に動かす目の筋肉」もしくは「下に動かす目の筋肉」になんらかの原因で麻痺があると、当然、斜視になってしまいます。するとやはり両眼が同じ方向を見なくなり物がダブってみえます。この場合、なんとかダブりをなくそうとして無意識のうちに頭を傾ける姿勢をとります。そしてある傾きになるとダブらなくなります。これが眼性斜頸(がんせいしゃけい)です。

眼性斜頸のうち、大学病院で小児眼科で外来をしていて、よく見かけるのは上斜筋麻痺(じょうしゃきんまひ)という病気です。これは目を動かす筋肉の一つである上斜筋(じょうしゃきん)という筋肉が麻痺していたり、もともと萎縮していたりするものです。手術をすることが多いですが、うまくいけば手術した直後から頭の傾きがなくなります。上斜筋麻痺をどうやって手術するのかは斜視を専門にしている医師の間でも議論が分かれるところです。上斜筋に直接アプローチするのか、別の筋肉を手術することで解決するのか・・・。いずれにせよ、手術の結果、頭の傾きが改善させることが目的になります。

このように、斜頸には目が原因の可能性もあり、筋性斜頸との区別が必要です。ちなみに筋性斜頸とは首のところにある胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が固いために起こるもので、これを眼科で治療することはありません。